「抵当建物使用者の引渡しの猶予」に関して

平成16年4月1日から出来た法律だそうで、抵当権より後に発生した賃貸借において、家を借りている人は、6ヶ月間は相当額の家賃を落札者に払えば住んでもいいよ、という制度だそうです。逆に言えば、6ヶ月経過すれば出ていかなければいけないと、線を引いいた法律です。それ以前は「短期賃貸借保護制度」と言って、短い期間(土地は5年以内、建物は3年以内)であれば、抵当権に対抗できたそうです。つまり、家なら3年は競売があっても住んでいられたのが、半年になったという事ですね。競売制度の活発化が目的の法の改正だったそうです。

 


(抵当建物使用者の引渡しの猶予)

民法 第395条
  1. 抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。
    一 競売手続の開始前から使用又は収益をする者
    二 強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者
  2. 前項の規定は、買受人の買受けの時より後に同項の建物の使用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその一箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、適用しない。

 

6ヶ月を経過するか、家賃を払わないと、落札した人は裁判所に立ち退きの強制執行を申し立てる事ができます。興味本位で聞いた話では、同じく執行官が業者(引越し屋さんでしょう)を連れて現れ、家の中のものを洗いざらいトラックに詰め込んで、占有者にどこに持っていくか聞き、答えなければ倉庫に保管するそうです。その費用は占有者に請求されるそうですが、そもそも引っ越し費用(時には家賃も)が払えないような人だから「占有」しているので払えるワケもなく…結局は強制執行を掛けた方の負担になるみたいです…

競売物件の購入のノウハウを見ていると、立退き費用100万円という見積もりがあったりします。この一連の流れを法律を使って行っても時間ばかりかかるので、占有者に手切れ金よろしくお金を払って、引っ越してもらうという事のようです。