第18話 旧オーナーとの交渉の巻



色々あって、新しい借家の契約も済んで引っ越しの準備を始めました。新しい家ではしっかり契約書の中身をみました。やっぱり「抵当権の設定あり」でしたが、オーナーさんは転勤の為に2年間の期限付賃貸借」で出していましたし、登記簿の内容も普通に自宅を買った時の内容で怪しいところはありませんでした。

一方で、引っ越しが問題でした。まだハイハイしているような息子がいるので短期間に引越し準備するのは無理と判断して、荷造りもお願いする「らくらくパック」で見積もって→値切ってを繰り返して15万円という見積に落ち着きました。この引越費用を個人で負担するのは本望ではなかったのですが、とりあえずこちらも契約。

ここまで来て、旧オーナーに会いに行くことにしました。

まずは、謝って欲しかったこと。そもそも借りた時には火の車だったことはほぼ明らかで、こうなる事は予想出来たはずで、それを説明しなかたのは許せませんでした。(実は不動産屋は知っていた感じなのですが….)もう一つは引っ越し費用はせめて持ってくれと言うことでした。

電話しても逃げられるだけと思いましたので、突然オーナーが社長を務める会社に行きました。なるべく社員のいない、業務終了あたりの時間を狙って近くのスーパーに車を停め、歩いて行きました。立派な見かけの会社で、中も会社とは思えない豪華な家具を並べてありました。思惑通り社長と事務の方がいて、面会を求めると応じてくれました。机の上には舶来モノのカープとソーサーにコーヒーが入っていました。

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私:まずは、今回の事態に関して我々は全く非が無いのに振り回されてしまった、あなたはそれに関して全く謝罪の言葉も無いのはどういう事か?

社長:謝罪はしない。私も被害者だからだ。そもそもあの家は ◯◯建設の建てた分譲住宅で、◯◯建設から投資用に買ってみないかと誘われ、買えば良好な関係を築けると思い買ったものだった。しかし◯◯建設が多くの債務を残して倒産してしまい私の会社もそれの巻き添えを食って大変な思いをした。私の財産はほとんど取られ、最後に残ったのがあの家とあと数件の借家だけだった。私は努力したが、会社を守るためにどうしようもなく競売となった。なので私も被害者だ。

私:大変な事であったとは思うが、私には関係ない。そんな状態なら貸さなければよかったのではないか?

社長:いつ競売になるかも分からなかったし、前の住人が突然引っ越してしまったので、賃貸しただけでこれも今まで通りやってきた事で特に落ち度もないし、重要事項でもないので説明の必要はない

私:徹底的に謝らないというのであれば、せめて引越し費用の負担はしないか?

社長:(笑) そんなお金払えるぐらいなら競売なんて掛けられませんよ。無理無理。ダメです。 (沈黙) 家賃を数ヶ月とめた費用で、なんとかしてください。

私:あれでは敷金がやっと取り戻せる程度です。足りません。どうしても払う気はありませんか?

社長:ありません

ここまで話して、沈黙だけ。これ以上話しても全く引く様子もないので(まあ、さんざんこんな話ばかりしている人でしょうから)そのまま、出された飲み物も飲まずに帰ってきました。あの時は腹たったなぁ….

その後、精査したところ止めた家賃から敷金各種費用を引くと、5万円程度が残ったのと、私と、会社で5万円ずつ負担する事にして、引越し費用にしました。本当は会社負担にしても良かったんですけどね。あんな古狸(社長)の物件を選んだ私の責任もありますので、負担する事にしました。

 

今、冷静になって考えてみると登記に書いてあった他社の根抵当設定というのは、仕事をもらっている発注元の建設会社に担保を差し出して資金調達の援助をしたという事なんだったんだと思います。その根抵当自身は今回の競売で消えたと思いますが、これだけではなく保証とか色々やったと思うのでそれが社長の言う「被害者」という事なんだと思いますが…ま、気の毒っちゃ気の毒なんですがね。ただ、私には関係のない事でして…

 


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